1 彼らとの馴れ初め

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「スミくん、明日からもお昼一緒に食べよ?」 「え! いいの?」 「もちろんだよ」  清水くんが嬉しい提案をしてくれた。  イケメンたちの中に地味な僕がいることにかなりの違和感はあるが、偽りない笑顔で言われて遠慮の気持ちがどこかへいってしまっていた。 「明日は学校ないけどな」  白石くんがぼそっと吐き捨てた。 「あー、オミはすぐそうやって揚げ足とる」  あまり喋らない白石くんだが冷静に会話を聞いているのだろう。鋭いツッコミが入る。 「そっか、明日は学校ないからスミに会えないのかー。……あ、俺ん家遊び来る? 予定なければだけど」 「いいねそれ! 俺たち理久矢ん家で遊ぶ約束してたんだけど、スミくんもおいでよ」 「おい、お前ら自分たちの図々しさにスミが引いてることに気付け」  どうやら三人は明日遊ぶ約束をしており、僕はそれに誘われているらしい。  純粋に嬉しいが、白石くんが言うように少々いきなりすぎる気もする。 「ごめん。俺早くスミくんと仲良くなりたくて……、迷惑だった?」 「そんなことないよ!」  清水くんが悲しそうな顔で僕を見るから、断ろうと思っていた罪悪感から咄嗟に返事をしていた。 「じゃあ決まり。詳しいことはあとで連絡する。あ、連絡先教えてよ」  理久矢くんが僕の肩を軽くポンと叩きスマホを取り出した。  僕も、三人ともっと仲良くなれたらすごく嬉しい。  彼らを見れるだけで眼福な上に、笑いの絶えないグループなのだ。 「俺らのトークグループに招待するね」  そう言う理久矢くんの右頬にはまだうっすらと跡がついており、さっきのやり取りを思い出して小さく笑ってしまった。  ――こうして、彼らと過ごす僕の日々が始まったのだ。 [EP1 終わり]
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