オウムの伝言

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オウムの伝言

 人類が滅んで数万年経った。  かろうじてジャングルの一部となり遺った、かつての世界遺産で1匹のオウムが羽を休めている。  どうやら巣には雛がいるようだ。辺りの様子を伺い巣に近づき、雛に向かって「アイラブユー」と言葉を放った。  その昔、人類と接していたオウムが愛情を感じた言葉を、オウムが愛情を持って雛に伝え続けたのだ。オウムの知能もさることながら、感情まであったとは驚いた。  愛情を表す素敵な言葉だったが、これは既に人類の知るところではない。  だが、数千年前に誕生した、人間に類似した生き物には関わりがあった。  人間とは似て非なるものだが『言葉』を自分の意思で発する唯一の生き物が現れた。かつての人間とは全く異なる言語を使う。  限りなく人間に近く、生き易さを追求してゆき、また長い長い歳月をかけて絶滅へと進む種なのだろう。  いやはやしかし、全てを失った人類のものでただひとつ遺ったものが愛を伝える言葉だった事は、人類が唯一遺せた奇跡として良いだろう。
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