Scene02 無理心中と幼い子ども

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――ひらかた山・山頂 父親と母親、そしてその息子と娘が車の中にいた。 「子どもたちは眠ったようだね」 父親が母親にそう言った。 「ええ……」 母親は優しく微笑む。 「すまないな。  こんな形になってしまって……」 父親が小さな声で謝る。 「いえ、仕方がないわ。  貴方はよくやったもの……」 「ありがとう」 母親の言葉に父親は涙を流す。 「さぁ、そろそろ逝きましょう」 「そうだな……」 父親は、小さくうなずき何かのスイッチを入れる。 「楽に逝けると良いわね」 母親が、そう言うと父親がうなずく。 「ああ……  大丈夫、この爆弾なら一瞬だよ。  あと5分で、爆弾は爆発する」 すると息子が目を覚ます。 「ん……」 「ん?隼人、目が冷めたかい?」 「うん。  トイレ……」 父親は何かを言いたそうに男の子の方を見た。 「そっか……  じゃ、行っといで」 「うん」 隼人と呼ばれる少年は、リュックを背負って静かに車を降りた。 そして、トイレのある場所を探し眠い瞼をこすりながら暗い夜道をさまよった。 しかし、隼人はトイレを探せど何処にもなかった。 そして、気づく。 自分が持っているリュックは妹のリュックだと…… 隼人は一旦車に戻る。 そして、そこで隼人が見た光景は…… 燃える車だった。 中から妹のマコの声が聞こえる。 「熱いよ!熱いよ!  お兄ちゃんどこ!」 泣いている。 どうしてこんなことに? 隼人はリュックを地面に置くと車に向かって走った。 「マコ!今助けるから――」 隼人が、そこまで言ったとき…… 車が、ドンという音とともに爆発した。 隼人の体が吹き飛ばされ…… そして、意識を失った。
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