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「……」
クールな男、柊 羅輝が大輔の方を睨んでいる。
「おいおいおいおい」
将門がため息混じりに羅輝の方を見る。
「なんですか?」
「……いや、なんでありません。
そろそろ仕事の時間ですよ」
「おっとそうだったね。
新人君……じゃなかったこの子は、久留里大輔くん。
政府の任命によりこの特殊班に派遣された優秀な人材だから仲良くしてやってくれよ。
特にりのあちゃん、君は大輔くんのバディーになるから仲良くなりすぎない程度に仲良くするように」
将門がそういうとりのあが、言葉を返す。
「えー、どうして仲良くなりすぎないようにって難しくないですか?
なんでなんでなんで?」
「はいはいはいはい。
大人なんでその辺わかるでしょ?」
将門がため息まじりに言った。
「じゃ、新人くんとりのあちゃんは聞き込みよろしく」
楽空はそういってニッコリと笑う。
「聞き込みですか?」
大輔が首を傾げる。
「そうだよ。
最近この付近で多発している連続婦女暴行殺人事件があるだろう?
その事件現場付近で聞き込みをしてほしいんだ」
「僕、捜査会議に参加してないんですけどいいんですか?」
「捜査会議?ああ、ドラマのように君に合わせて会議は行われないからね。
まぁ、話を聞くだけだと思って頑張って」
将門がそういうと大輔は戸惑う。
「そういわれましても……」
「あー、もしかして私と捜査するの嫌とか?」
りのあが、そういって大輔の方を見る。
「いや、別に嫌とかいうんじゃなく……」
「そう?じゃ、気を引き締めていこう!
私は、指原りのあ!気はゆるくよろしくね!」
りのあが軽く自己紹介をする。
「おっと、ここで名乗らないと今後二度と君という物語に登場できなくなるね。
僕の名前は、鳥須田 楽空。まぁ、僕も気はゆるりっとよろしく!」
「……柊 羅輝」
気さくな雰囲気の楽空と違って警戒が強い羅輝。
「柊先輩!そんなんじゃ、久留里大輔のシナリオに出れないですよ!」
「別にいい」
羅輝が短くそう答えた。
「ちょっとさみしいこと言わないでくださいよ!
主役になれない僕らは誰かの物語に登場しないと生きてけませんよ」
「久留里」
羅輝はテンションの高い楽空を無視して大輔の方を見る。
「はい」
「これはお前にとって初任務だ。
頑張ってこいよ」
「え?」
大輔は戸惑う。
この人は自分を受け入れていない。
そう思っていた。
でも、応援されるってことは受け入れてもらえたのか?
それはわからない。
「返事は?」
りのあが、大輔に尋ねる。
「あ、はい。
ありがとうございます」
大輔がそういうと羅輝がいう。
「指原、お前もだ。
初めての後輩。大事にしろよ」
「かしこまりー」
りのあは、そういって羅輝に敬礼した。
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