おやすみループ

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「重っ……?!」  新しいスマホはガラス製みたいでずっしりと持った感触がした。最近のスマホは重い機種が多いらしい。  ミホとの約束の時間が迫っている。急いで電車に乗らなくては。  私は古い相棒を紙袋にいれると、新しいスマホをトートバッグに入れて歩き出した。 ☆☆☆  新宿駅から笹塚駅の手前まで、少しのあいだ京王線は地下深くを走る。  私は向かい側に映る自分の姿を見つめながら、私も今まで脱皮を繰り返してきたんだなと思った。  小学生の私。中学生の私。高校生の私。大学生の私。そして今、キャリアウーマンとして働く私。誰もが自分という中身を残したまま、肩書という外見を書き換えて生きている。  それだけじゃない。お父さんとお母さんの娘という私もいる。ミホの親友という私もいる。私が私をやめたとき、私の殻は一体いくつになるんだろう。  そんなことを考えていたら、電車はトンネルを抜けて笹塚駅に停まった。
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