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「それでその後、蒲池からの連絡は全く無かったのでしょうか?」
「そうですね、こちらから連絡しても携帯は繋がらなかったみたいです」
「みたい?・・それってどなた様が電話されたのでしょうか?」
「蒲池さんの同僚の方ですよ。1週間程かな、ほぼ毎日のように電話していたようです。でもいつの日か『電源が切られています』なんてアナウンスが流れ出したので、それからは掛けるのを止めたそうです」
病床で意識を取り戻した三浦は真っ先に淳の居場所を頭の中で模索していた。
朝田部長からは『淳が行方不明』だと訊かされていたからである。
(かわいそうに、症状が改善しないのを悟った淳は『今のうちに出来ることの一つ』として社会からの逃避を選択したに違いない。とすれば、まずは茨城の実家に戻るに違いない、あの日あの時、私にSOSを発信していたしていたのに、私って奴は・・
『・・・・だめ、もう私たち他人同士でしょ⁉ それじゃまたね、あっそうだ淳、次のワクチン接種は来ないでね!』
淳の窮状に気づくどころか無情にも突き放してしまったことになる。なんて私は薄っぺらな女なんだろう)
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