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無断欠勤
退院の手続きを済ませた三浦風美は病院の人事部を尋ねていた。
「蒲池淳がお休みを頂くようになったのは何時頃からですか?」
「少しお待ちください勤務歴を見てきますので」
元夫の蒲池淳はこの大学付属病院の看護師として勤務していたが、若年性アルツハイマーを患ってしまったのである。
勿論、勤務先でもある病院からからは進行を遅らすための薬が処方され、蒲池自身も藁をも掴む気持ちで、服用を続けていた。
だが蒲池やそれに携わる医療スタッフらの思いとは裏腹に若いが故なのか、皮肉なことにその進行速度は凄まじいものだった。
「お待たせしました、これが始まりなのかどうかは断言できませんが、この日から無断欠勤されていますね」
三浦はバックから手帳を取り出すとその日を書き込み始めた。
(んっ?確かこの日って私と淳がマンションのIDを解除に訪れた日?・・いや、それから2日後か・・と言うことは自分の部屋に戻ったことで・・いや私に逢えたことで何かを決意したのだろうか? これだけでは、まだ失踪の原因が見えてこない・・)
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