眠れない少女と眠らない男

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──午前五時半 「本当にぐっすりだった」  何ヶ月振りかの熟睡。眠気は残っていたけれど、リビングへ移動する。  ソファの取手を枕替わりに、テレビのスイッチオン。地方局の番組が映った。 『ここからは最新情報です。今日未明、女子高生が狼に襲われる事件が起こりました』 「狼……。吸血鬼も同じ部類なのかな……」 「あら、心奏ちゃん。おはよう! いい夢は見られた?」  テレビを消され、ソファの後ろに叶人がいた。 「夢なんて見ないよ」 「あら。ぐっすり眠れた感じ?」  こくりと頷いたが、心奏は叶人の変化に気付いた。 「ね、叶人。なんか良いことあった?」  すっぴんのくせに血色が良い。疑問の答えに、叶人は微笑む。 「そりゃ、血を頂いたからね」  心奏は昨夜のことを思い出し、トマト顔で叱った。  そして、きゅるる、と誰かのお腹が鳴った。
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