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十年前に今の自分を想像できたかと言ったら、全く想像できませんでした。
その頃、私は定年を五年後に控えて不安に満ちた気持ちでいました。
自分の居場所がなくなるのではないかと怯えていました。
会社だけでなく、家庭内でも自分の居場所がなくなるという心配をしていました。
B社の中で四角だったのは、組織を過不足なく埋める形だったからです。
円形で埋めていくと隙間ができてしまうので、ダメなのです。
会社の中では四角形になる必要がありました。
身動き取れない状態に自分を置くのです。
私にはB社への愛着はあまりありません。
B社は何度も退職勧奨してくる会社でした。
好きになれる訳がありません。
退職勧奨されたとき、新卒でB社へ入社し、愛社精神を強く感じている同僚は、会社の
危機を救う為ならといって喜んで辞めていきました。
私は、B社はしばらく大丈夫だと思ったので、愛着はありませんでしたが残りました。
結果的には、辞めた人たちが再就職で苦労しているという話をたくさん聞きました。
会社を愛している人の犠牲の上に立つ退職勧奨は間違っていると心の底から思います。
私が55歳になるとB社では給料が減らされました。
この時、殺意に近いような憤りを感じました。
能力が下がっていないのになぜ給料が下がるのかわかりませんでした。
時給を下げないためには、仕事時間中に『定年大学』の勉強を始めるしか
ありませんでした。
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