2 バケツ

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どうして、初対面の相手に、当たり前のように頼みごとをする気でいるのだ。 頭がおかしいんじゃないのか。 控えめに言って、楓はそうとしか思えなかった。 「きいてくれたら、ちゃんとお礼もするよ?」 「いや、怪しい取引はしない主義なんで」 「うーん、お得だと思うんだけど…」 そうだと、くゆりは手を叩いた。 「お礼の前払いをしてあげよう」 「はあ?」 「キミが望む縁を、1つ持ってきてあげる。  どうかな?」 「どうもなにも…」 そんな取引するわけがない。 このままここにいても、危険な気がする。 「わ、私帰る!」 楓はきびすを返して、走り去った。 (どうしよう…) 家に帰って、頭を抱えた。 (せっかくの秘密の場所だったのに) まだ次の候補も見つかっていないのに、こんなのってないじゃないか。 ため息しかでない彼女に、次の日、さらに頭痛の種が増えた。
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