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どうして、初対面の相手に、当たり前のように頼みごとをする気でいるのだ。
頭がおかしいんじゃないのか。
控えめに言って、楓はそうとしか思えなかった。
「きいてくれたら、ちゃんとお礼もするよ?」
「いや、怪しい取引はしない主義なんで」
「うーん、お得だと思うんだけど…」
そうだと、くゆりは手を叩いた。
「お礼の前払いをしてあげよう」
「はあ?」
「キミが望む縁を、1つ持ってきてあげる。
どうかな?」
「どうもなにも…」
そんな取引するわけがない。
このままここにいても、危険な気がする。
「わ、私帰る!」
楓はきびすを返して、走り去った。
(どうしよう…)
家に帰って、頭を抱えた。
(せっかくの秘密の場所だったのに)
まだ次の候補も見つかっていないのに、こんなのってないじゃないか。
ため息しかでない彼女に、次の日、さらに頭痛の種が増えた。
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