ハッピーエンドの殺し方

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 でもでもだってと、心に住む五歳児が駄々をこねる。  私がおかしいのは私だけのせいではない! 両親の精神的虐待によって精神が()じ曲げられてしまった結果である!  ああ、結果論。そう考えなければ今この瞬間、平気な顔で息が吸えないのだ。自分自身の愚かな部分は、いつまでも親に責任を押し付けるのが一番楽だ。しかし以外の事柄は、自分のせいにするのが一番幸せである。  私のせいですと考えれば、私なんかのために責められて傷つく人間が相対的に減るからだ。などと立派な自己犠牲精神を(はた)(かか)げて振りながら、私はいつまでも両親を許すことができない。  スネをかじりながら何が『許せない』のだろうか? 死んでしまえばいいのにと私が笑う。よくわかる、私もそう思う。  どれだけ嫌おうと死ぬ瞬間までこの体の中にはあれらと同じ血が流れているのだと考えるだけで、透析(とうせき)で全ての中身を入れ替えたくなる。
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