ハッピーエンドの殺し方

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 例えば、ソーシャルゲームに課金した後。死にたくてたまらなくなる。  他でもない自分が好きでプレイして、誰に脅されたわけでもなく自分の意志でお金を使ったにもかかわらず、時間が経つにつれ大きな後悔が襲ってくるのだ。頭がおかしいとしか言いようがない。  同じで文章を打っているにしても、きっと今の世が明治時代であれば「これも一つの才である」と認めてもらえたかもしれないが、令和の今はただその辺りに転がる一匹のメンヘラだ。太宰治も首に紐を繋げたまま同情して鼻で笑うことだろう。  毎日毎日、「自分には生まれ持った文章の才があり、顔もそれほど悪くない」と脳の味噌に思い込ませなければ生きていくことができない。そうしなければ息ができない。  私には何もないのだと、誰よりも理解しているのは他でもない私自身なのだから。  現実を直視することがひどく億劫である。鏡に映るこの(みにく)い生物は誰だろうか、ああ自分だったかと落胆するのにも随分慣れた。
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