sideA:stalker

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 君は僕のものだ。誰にも──誰にも決して渡さない。  僕は仕事を終えると、いつも夜の八時まで駅前の交差点が一望できる喫茶店の座席に腰かけて彼女が来るのを心待ちにしている。  そら来た。──ハイビスカスさんだ。  くりんとした巻き毛に首もとには落ち着いた赤色のスカーフを巻いている彼女。冬はベージュのコートを着ていたけど、蒸し暑い七月の現在は、大胆に肩を露出させた白いシャツに黒いタイトスカートを履いている。高嶺の花という言葉が彼女には相応しかった。  でもこんな蒸し暑い夏なのに、彼女はあの赤色のスカーフを取ろうとは決してしない。  だから僕は彼女にハイビスカスという名前をつけた。赤いハイビスカスの花言葉は“常に新しい美”。  いつもお洒落なスーツウェアを着こなしている彼女にピッタリだと思った。  僕は彼女の美貌を毎日見つめるだけで、生きていける気がするんだ。  彼女は取り出した携帯を触りながら、交差点の信号が赤から青に変わるのを待っていた。
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