GOOD NIGHT WORLD!

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GOOD NIGHT WORLD!

「おやすみなさい」 僕は一人きりの寝室でそう呟くと、布団を被って目を閉じた。 次に僕が目を開けると、明るいリビングで君が微笑んでいる。 「おはよう、今日は早いのね」 その家は僕の住むアパートとはまるで違う、ログハウスのような日当たりの良い家で、彼女は僕の見た目とはまるで違う、美しい黄緑色の髪の毛と目、そして少し尖った耳を持つ美しい女性だ。 「うん、仕事が早く終わったから」 彼女はクスクスと笑って一枚の紙を僕に手渡した。 「お仕事終わりに申し訳ないけど、早速依頼が来てるわ。山にレアな薬草を取りに行く依頼よ。」 「また薬草取り?」 僕が不満そうに返すと、彼女は温かい朝食をテーブルに並べながらあやすように言った。 「あなたが強いことはわかってる。でも、ダブルワークでお疲れなんだから、このくらいで良いのよ。あなたはこちらでもあちらでも立派な人なんだから」 朝食は僕の好物ばかり。ハーブティーも以前おいしいと言ったものだ。 「それに、私も一緒に行きたいから、これぐらいでちょうど良いのよ。ゆっくり朝食をとって準備しましょ」 その後僕と彼女は難易度の低い魔物を倒しながら、登山をして薬草を見つけ、無事依頼をクリアした。報酬は彼女が受け取ってきてくれるという。 「いつもごめんね、もう時間がなくて」 「いいのよ、早く寝ないと。今日も楽しかった。おやすみなさい」 目覚めると、そこはいつものアパート。 枕元のデジタル時計は、朝4時を示していた。 (また少し眠れるな) 僕は再び目を閉じた。 スーツを着て出社すると、隣席の同僚が来ていなかった。そういえば、彼は最近よく遅刻や欠勤をしていた。 (あいつは、もう戻ってこれないかもな) 憂鬱な気持ちでパソコンを立ち上げると、上司が隣の空席に座り話しかけてきた。 「彼、どうしちゃったか分かる?仲良かったよね」 僕は少し視線を彷徨わせた後、素直に応えることにした。 「多分、ゲームのやりすぎですね」 「ゲーム?」 「はい、GOOD NIGHT WORLD!ってご存知ないですか?」 上司は眉を寄せて、知らないと答えた。 GOOD NIGHT WORLD!は、その名の通り睡眠中にクエストをクリアするゲームである。VRよりもさらに没入感があり、なんとゲームの世界に夢の中で行くことができるのだ。夢の中の世界は現実世界とそっくりな感覚で、しかし、剣と魔法のファンタジーの世界である。ライトノベルで流行りの異世界転生の気分を味わえる、最近人気のゲームだ。 やや得意げに説明した僕に上司は理解したようだったが、しばらく考えやはり分からないという顔をした。 「それで、なんで何回も遅刻や欠勤をするんだ?夢の中でゲームして、現実では出社すれば良いんじゃないか?いくらゲームにハマっても、そんなに寝続けられないだろ」 「ゲームの中では通常の2倍の時間が進みます。そして、現実世界と同じ感覚を味わえるんです。」 じっと上司の目を見ると、ああ、と感嘆をもらす。 「疲れるってことか?」 「そうです。だから、終わった後は現実で眠れます。」 「お前はどうしてるんだ?」 「私は、大体22時ごろ開始して、現実の3時か4時くらいまでプレイします。その後寝てから出勤してます。なので、毎日は無理ですね」 本当は毎日プレイしたいが、現実には週の半分程度が体力の限界だ。 僕は上司の座る席の机を見て、小さくため息を吐いた。 「彼は、戻ってこれなくなったんでしょう。ドラゴン退治の英雄ですから」 GOOD NIGHT WORLD!は今一番熱いゲーム。ただし、プレイには強い意志が必要である。
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