SCENE:01/第一歩

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「改めまして、美島百恵(みしまももえ)です」 よろしくね、と微笑む美島さんは、さっぱりとしたショートカットが似合う綺麗な人だった。 「榛名梢です、よろしくお願いします」 「梢ちゃんね、私のことは百恵でいいよ、課長以外みんな下の名前で呼ぶから」 「皆さん下の名前で呼ぶんですか?」 「呼びやすいからねー」 育成担当と言えば大袈裟だけど、この部署での仕事に慣れるまで、主に私のサポートをしてくれるのが、この百恵さんだ。 加瀬くんには、百恵さんと同期の小椋さんという男の人がサポートとしてついている。 「とりあえず営業部向けの社内セミナーの準備を手伝ってもらうわね」 「わかりました、私は何からすれば?」 「はいこれ」 そう言って百恵さんから差し出されたのは、二十枚ほどの書類を挟んだファイルだった。 「四十部ずつコピーしてファイリングお願い」 わあ、それはいきなり骨が折れる。 了解の旨を百恵さんに伝えてから、けれどこういう地道な黙々作業は割りと好きなので、落胆することなくコピーから始める。 コピー機がせっせと働いてくれている間に会議室を抑えて、資料を挟んでおくファイルも用意しなくちゃ。 なんかこんな風にしてると、新卒で入社したばかりの頃みたいで、ふいに懐かしくなった。 頭の中でこれからの手順を考えていると、ふと隣に誰かが並んだ気配に、視線を向ける。
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