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「俺も手伝うよ、これ綴じればいい?」
「加瀬くんも?」
「なんか新人の頃に戻った感じだよな、あの頃も最初はコピー取ったり会議の準備したりから始まったじゃん?」
「私も今まったく一緒のこと考えてた!なんか最初はやっぱりここからなんだなって」
「な、わくわくするよな」
無邪気に笑う加瀬くんに思い切りよく頷いて、ふたりで手早く作業を終わらせた。
「もう終わったの?」
百恵さんのところにファイリングを終えた資料を届けに行くと、涼しげな目元がこちらを向く。
「加瀬くんが手伝ってくれたので」
「助かったわ、ありがとう」
「他に何か私に振れる仕事はありますか?」
「こっちはもう大丈夫、加瀬くんとふたりで課長から企画書出すよう宿題出されてるのよね?とりあえずそれ進めてて」
「承知しました」
そうだ、企画書も進めなきゃ。
とりあえずニ日でひな形を作って、その後に課長からダメ出しをもらう予定だ。
「加瀬くん、話掛けてもいい?」
「うん、どした?」
「企画書の件、進めたいと思ってるんだけど、いつなら時間取れそう?」
「全然今からでもオッケー」
自席に戻って加瀬くんに声を掛けると、早速了承が来たので、小さめの会議室を抑えて中に籠ることにした。
「とはいえ俺らにまだ知識の下地がないよな」
「昨日の夜ね、家で色々調べてみたんだけど新卒の三年以内離職率って三割超えてるの」
「新卒入社組の三人に一人は第二新卒枠で他社に流れてるってことか」
「で、うちの離職率は14.9%」
「立派だな、まあ腐っても大手だもんなあ」
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