SCENE:02/部外者

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「榛名、このゴミってどこ捨てんの?」 「こっちと一緒に捨ててきちゃうから貸して」 「悪いな、手伝おうか?」 「私は大丈夫だから洗い物の方お願い」 「了解!」 生ごみをかき集めてゴミ捨て場に捨てに行く。 後片付けが面倒だよねえ、なんて考えながらゴミ捨て場までひとり歩いていると。 「お前はなんで平気で雰囲気壊すんだよ」 初めて聞くような、低い声だった。 ゴミ捨て場の前には長袖の黒いTシャツを腕まくりした加瀬くんと、暖かそうなパーカーを着た塔子が立っていた。 ふたりの間を漂う空気は剣呑だった。 私はさすがに割って入る勇気もなく、一旦立ち去ろうと踵を返す。 「みんな塔子のために企画してくれたんだろ」 「私が頼んだわけじゃないわ」 「何でそういう考え方なわけ?人の親切素直に受け取れねえの、自分の心が曇ってるからだと思うぜ」 「樹の価値観を私に押し付けないでよ」 静かな口論は、妙に迫力があった。 後ろから追いかけてくる声から逃げるように歩き始めたところで、「梢?」と塔子の落ち着いた声が背中に刺さった。 「…あ、えっと、ごめんゴミ捨てに来て」 「こっちこそ変なとこ見せて悪かったわね、私はもう退くから構わず捨てて?」 「でも…」 咄嗟に加瀬くんの様子を窺うと、彼にしては珍しく俯いてこちらに背を向けていた。 塔子はそれを気にする様子もなく普段通りの冷静さで微笑むと、「本当にごめんね」と私の肩を叩いて立ち去った。
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