SCENE:02/部外者

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「全然、私こそごめんね、間が悪くて」 「樹って本当に口うるさくてうんざりするのよね、私のプライドを自分で守って何が悪いって言うのよ」 「…加瀬くんも悪気はなかったんじゃない?」 「悪気がないのが余計に厄介なの」 塔子がため息を漏らした。 私は塔子の主張も腹立たしい気持ちもわかる。 自分が今まで頑張ってきたことをないがしろにされて、それを否定するなと言う加瀬くんも結構酷だと思う。 どちらも正しくて、それが極端なんだ。 だから衝突してしまう。 考え方や価値観の溝を埋めるのは、大人になればなるほど難しい。 「梢って常に中立公平よね」 「そう?」 「誰のことも否定せずに全員の味方、それって本当に優しさなのかしら?」 切れ長の瞳が私を見透かしているようだった。 私の八方美人は優しさじゃない。 ただの狡さだ。 それを自分自身で理解していても、他者から追及されると、脚が竦むのは何故だろう。 「こんなんだから樹に怒られるのね」 「…塔子は花火しないの?」 「私は先に帰るわ、悪いけどみんなには適当に誤魔化しといてくれる?」 そう言って塔子はその場を立ち去った。 残された私はしばらくベンチの上に座ったまま動けなかった。
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