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昼時のコンビニは客が多い。大方は弁当コーナーか飲料用の大型冷蔵庫の前に居るし、誰もがまるで映像を早送りをしているように機敏だ。のんびりしている人はあまりいなかった。
忙しなく行きかう人たちとは違い、二人は真っ直ぐに目当ての物を求めてアイス並ぶ冷凍庫へ行き、そこでしばらくじっとガラス扉の中を見下ろしていた。
炎天下の外からエアコンの効きまくった店内へ。しかも更にキンキンに冷えたアイスたちを眺める至福。金額が高いのから安いのまで、チョコレートだったり果実系だったり、なんと魅惑的なアイスたちなのだろう。もうずっとこのままで良いような気になってくる。歩夢と二人、冷え冷えのアイスを眺めていたい、永遠に。むしろこの瞬間を凍らせて冷凍庫に閉じ込めてほしいくらいだ。
「んで、夏奈の希望は今日もあやつか?」
先に口を開いたのは歩夢だった。
「今日もあやつですよ。ぶれませんね、そこは」
二人の視線の先は同じアイスにしっかり固定されていた。
「お前、こればっかで飽きねーのかよ」
「初日に言ったじゃん、願掛けしてるって」
歩夢は呆れたように冷凍庫の扉を開けて、ソーダ味のアイスキャンディーを二本取り出した。
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