melt

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 二人はコンビニを出て、店の前でアイスの青い袋を開ける。なんとか小さな日陰に入るが、真夏の正午だ、かなり接近してしまって返って暑い気がしなくもない。歩夢はシャツのボタンを四つも開けて、パタパタと風を送りながらその場にしゃがみ込んでいた。袋を開ける動作ですら汗が吹き出してくるような有り様だ、夏奈だって男だったらシャツを開けたいと羨ましかった。 「あちー。マジで夏期講習なんてくたばれよ。誰だよ決めたやつは」 「だねぇ。でも今日で終わりじゃん」  自分で言って、その現実に夏奈は焦っていた。夏期講習中だけの願掛けだと決めていたから、今日が最終日なのだ。 「んで、アタリが出たらどうすんの?」  まだ固さを保っているアイスキャンディーをガリガリ噛りながら歩夢が問う。夏奈はチビチビ端を噛ってみたり舐めてみたり。舌がひんやりして、じわじわ感覚を失っていく。甘くて仄かに酸っぱいソーダ味が口の中を占領していった。
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