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圭ちゃんが好き!
ヤバい、ヤバい、寝坊した!!
もうっ!ママもなんで起こしてくんないかなぁ。
学校に全力ダッシュをしながら、今朝のママの言葉を思い出して、思わず笑ってしまう。
「えーっ。だって、起きてこないから、休みなのかなって。でも、わかんなかったから、お弁当は作ってあるよ。」
ってピースなんか出されて、満面の笑みでニッコリされたら、怒る気も失せちゃうよ。
全くっ!天然かよ!!起こさないのに、お弁当はあるよって。
いやいや。笑ってる場合じゃない!急がなきゃ!
全力ダッシュでもう限界と思う頃に校門が見えて来る。
今日の先生は誰?
先生次第で、校門を通過できるかどうかが変わる。
チャイムが鳴り始めたらすぐに校門を締める先生、チャイムがなり終わってから、ゆっくり目に締めてくれる先生。
その差、約1分。この差が大きい。
今日は…。圭ちゃん!
やった!と思った瞬間に、うわぁ!
コケた!!
校門前、10メートル。
「雫!あ、葉月!大丈夫か?」
圭ちゃんが慌てて駆け寄って来る。
「いたたたたっ。圭ちゃ〜ん。コケた〜!」
「あららら。膝っ小僧、血出てる。」
急にフワッと体が持ち上がった。圭ちゃんが、立ち上がらせてくれた。
「大丈夫?」
「あ、うん。大丈夫。」
そう言って歩こうとすると、膝がドクドクと脈打つように熱い。
思わず、顔をしかめると、
「こりゃぁ痛いわ。膝がえぐれてるし。」
圭ちゃんが傷を見ながらそういうと、またフワリと体が浮き上がった。
圭ちゃんがお姫さま抱っこをしてくれていた。
「圭ちゃん!圭ちゃん!恥ずかしいから。歩けるから!大丈夫だから!」
顔に血が集まるのがわかる。
「だ〜め。だって、血、ドクドクだよ?
あと、学校では結城先生ね。」
そう言って、とびっきりの笑顔を私に向ける。
キュン。
この笑顔!
天使の笑顔、そして、悪魔の笑顔。
この笑顔には、誰も敵わない。
「圭ちゃんだって、さっき、雫って言ったよね?」
少し視線を外してボソっと言う。
「あ、聞こえてた?だって、雫、コケるから。」
「ほら、また!」
はははっと、いたずらっ子のように笑う。
ズキュン。
撃ち抜かれた。
何度、圭ちゃんの笑顔に撃ち抜かれたことか。
私、圭ちゃんのことが大好き!!
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