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第四試合 先輩vs後輩
始業式が開始する。
ただでさえ連休明けで気が滅入るのに、今日は四十度超えとさらに追い討ちをかけられていた。皆、ゾンビのようにフラフラした足取りで学校に向かっている。
校門前では、生徒指導員による制服チェックが行われていた。頭髪のカラーやスカート丈など、夏休み気分から抜け出せていない人のチェックをしているのだろう。
抜き打ちによるものの為、捕まっている人たちのほとんどが、廊下で顔の見たことのある一年生ばかりだ。
私は先輩の指導から模範回答のような外見である為、声をかけられることもない。
適当に流し見していたが、ふとある青年が目に入る。
ほぼ金に近い色にゆるいパーマと、もはや目をつけられに来たのかと言わんばかりの髪型だ。怪我なのか手には包帯が巻かれ、生徒指導員に頭を掻いて謝罪していた。
背格好から一年生には見えず、どことなく漂う気品から、むしろ上級生のように感じられる。
「三年生か……」私の顔は暗くなる。
ただでさえ気が重いのに、思い出したことでさらに気分が沈む。
ジワリと湧き出た汗が額を滑る。日の暑さも、球場外ではただ鬱陶しいだけだ。
肩を落としたまま教室へと向かった。
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