8人が本棚に入れています
本棚に追加
部活動終了後、同期と解散すると、私は駅とは反対方向に歩いていた。
普段はすぐに帰宅していたものの、今日は少しだけ外で一人になりたかった。
初夏に入ったものの、午後八時を過ぎると日は沈み、周囲は暗くなっている。駅とは反対方向であることから人気は少なく、街灯がポツリポツリと道を照らしていた。
並木道の近くにある公園を目指し、学生の下宿するアパートの密集する地を抜ける。
「辞めようかな……」
思わず口から漏れていた。
本気で部活動に取り組む人ばかりの学校だとは受験前からわかっていたことであり、それでも挑戦したいと思ったから入部したんだ。
やる気さえあればチャレンジできると思っていた。そんな強い根性があると勘違いしていた。
結局私は、現実が見えていなかっただけなんだ。
目にじわりと涙が浮かび、慌てて手で拭う。
先輩の厳しい言葉も、同期たちの軽蔑する目も、全部自分の実力不足から来るものだと理解しているからこそ痛かった。
覚悟はしていたし、情けないともわかるが、それでも身体は素直だった。
理屈では、感情を処理しきれないものだ。
並木道にある公園内に人影が見える。
先客がいたことに気を落とすが、そこで目を見開く。
最初のコメントを投稿しよう!