第四試合 先輩vs後輩

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 適当に始業式が行われ、宿題の提出も済んだ後、ホームルームでは体育祭についての話がされた。  うちの学校は部活動に力が入っているだけ、体育祭や学園祭という学校行事には、気合が入るか否かの両極端にわかれると先輩から聞いていた。  部活一筋の人にとったら学校行事など、記録にもならなければ、ただ時間を浪費するだけで面倒に感じるのだろう。だが逆に夏の大会など終わった人たちには気晴らしになるらしい。特に一年生の時は、下っ端であるだけ、やる気になっている人は多い。  ちょうどうちも定期演奏会まで時間があり、体育祭は実質運動部である成果を試す場でもあるな、と考えていた。  一年生が出場する競技は、個人競技を除けば、棒引きに玉入れ、クラス対抗リレー、そして依都が言っていた応援合戦だ。 「せんせ~。応援合戦って、何やるんすか?」  クラスメイトの赤髪でツンツンしたヘアスタイルの青年、楽斗原(ガクトバラ)くんが手を上げて尋ねる。 「応援衣装着て、応援している姿やパフォーマンスで競うものだよ」  担任は曖昧なニュアンスで答える。  今年入ってきた新米教師の為、具体的にはわからないのだろう。 「よくわかんねーすね~」  じゃ、これはパス、と楽斗原くんも観念して手を振る。  基本的に運動部中心にメンバーが決まっていくが、応援合戦だけ漠然とした種目なだけに中々決まらない。  これさえ決まれば今日は解散、と言われているものの教室内には怠慢な空気が充満している。  こんな中、立候補するのはかなり勇気がいるものの、応援をすることに価値を見出した今は、正直気になっていた。
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