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応援合戦の衣装合わせを行っていた。
「うそ、これ着るの?」
私は衣装を見て青ざめる。
うちの応援合戦の衣装は、ノースリーブに丈の短いスカートと、まさにチアリーディング部のユニフォームそのものだった。
応援合戦は専用の服があるとは聞いていたものの、まさかこんなに露出の多いものだとは思わなかった。
水泳の水着でも躊躇うのに、これを全校生徒の前で着るのなんて恥ずかしすぎる。
「豚足を見せられるこっちの気にもなれよ」
翔吏は困惑する私に野次を入れる。
「とっ、豚足って……!」
「つかそれも知らずに応援合戦立候補したっていうのかよ。せめて豚から鹿くらいしまった身体にならねーと見るに堪えねぇってもんだ」
「ひど!」私は険しい顔で彼を睨む。
男子の衣装は女子とは対照的に、全身真っ黒の長ランだった。裏地は黄色の布があしらわれ、まさに黄組応援団といった貫禄が漂っている。
常に眉間に皺の寄っている翔吏だからこそ、厳格な彼には似合いそうだなとは内心思うものの、絶対口にはしない。
「こうなったら…………とことんやってやる……!」
また翔吏に触発された形になったが、あそこまで言われたらこちらも黙っていられない。
夏休み中は日の暑さから怠っていたランニングも再開し、筋トレの量も増やし始めた。
さらに身体作りだけでなく、肌や髪のスキンケアも念入りに行うようになった。野菜中心の食生活に変え、水分も一日二リットル以上飲むようになっている。
やれることはとことんやるしかない。
せっかく応援している姿を見せられる、唯一のチャンスなのだから。
学校に部活に応援合戦、そして個人トレーニングを繰り返す中、二週間という時間はあっという間に過ぎた。
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