第一試合 部活動vs自分

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 本日も無事、部活が終了する。  午後八時が活動終了の時刻である為、他の部活動の人たちもその時間までには練習を終えて帰宅を始める。  授業中とは違う練習着であり、さらに日の沈んだ夜であることから、校門前では立ち止まって話す生徒が多かった。  だが先輩の目の届く場所であるだけ、浮かれた行動を取ることはできない。  その為、私たち一年生は、学校からすぐに退出しなければいけないものだ。 「疲れた……」  同期と曲がり角で別れた後、大きく溜息を吐く。  遅刻の減点はされなかったものの、細かいミスが多く、注意ばかりされたのだ。    毎日の運動だけでなく、先輩に対しての配慮も含め、そろそろ心身共に堪えきれなくなっていた。  根性論だけではうまくいかない。やはり依都のように、現実を見るべきだったのかもしれない。  帰宅したら夕食があるものの、駅前にあるファストフード店「ワック」へと入店する。  この店のサンデーが値段も良心的で、味も文句のないものだったので、自分を労わる際にたまに購入するのだった。  駅前に位置する為、夜であるが数人の列ができている。順番待ちの間、茫然と店内を見回す。  このワックは、学校の最寄り駅の目前に位置することから、紫野学園高校の生徒のたまり場となっていた。  現在も、部活動を終えた生徒であろう人達の集団がいくつか確認できる。    とそこで、奥に先輩の姿を見つけて身体が硬直する。  幸い、まだ向こうはこちらに気付いていないものの、目が合えば挨拶をしなければならない。  そんな体力もない私は、サンデーは諦めてドアまで向かった。    だが、そこで視界に大きな体躯が目に入り、「ひっ」と声が漏れた。 「あぁ、すみません……って、君」  どこかで聞いた声にハッとして顔を上げると、今日廊下で衝突した大柄な青年だった。  アンダーシャツを着用した制服姿だが、昼間よりもキツイ制汗スプレーの香りから練習後だとはわかる。  とはいうものの、全く疲労が見られないその佇まいから、本当に部活終わりなのか疑いたくなるほどだった。
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