作品の作り方

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私は山田詠美さんの作品が好きだ。 とにかく文章がおしゃれである。 一つ一つの文章が詩として成立するような滑らかなで繊細な文章。 気取ってるように感じない絶妙なバランスでストーリーが展開されていく。 そんな文章から描き出される人物もまた素敵だった。 磨き抜かれたガラス工芸のような「大人」が詠美さんの作品にはよく出てくる。 スマートで。美しくて。ちょっとずる賢い。 学校や会社でいうところの「憧れの人」のような大人がたくさん出てくる。 そんな人物の普段見せない子どものような自分勝手さ、純粋さ、繊細さをそれはうまく表現しきるのだからすごい。 (A2Zという作品がオススメです) 小説を読む時は色んなイメージを持つが彼女の作品はカクテルのイメージだった。 読んでるだけで酔っぱらってしまうような妖艶な文章。 エブリスタで短編を書く時は無意識に彼女の作品をイメージしていたかもしれない。 スマートで、美しい文章。 それが小説を書く上でのこだわりだった。 そんな中、比較的上手に作れたのは 「私は自由が好き」 である。 まず最初に「自由」というテーマで枠組みを作り、主人公は淡々とクールに、甘い恋愛描写は必要最低限にさりげなくというのを意識して書いた。 個人的にはショートカクテルのようにすっと飲み干せて余韻だけがじんわり残るような作品が出来たと思う。 ただ…。 近日、そんな作風とはほとんどかけ離れた作品を読んだ。 若くて。必死で。重たく。切実で。リアル。 (宇佐美りんさんの推し燃ゆという作品です。) 詠美さんの作風をカクテルとするならば宇佐美さんの作風はステーキのようだった。 力強い生命力が、生きているという感情が直接ダイレクト伝わるような作品だった。 「ああ、こんな作品も書きたい。」 「自分の思ったままの言葉をそのままを表現したい。」 そう思った。 今までの自分の作風とは全然違っている。 それでも挑戦してみたいと思わせるエネルギーがその作品にはあった。 そんなことがあり今、まったく違う作風にチャレンジしている最中だ。 それがまあ、難しい。 ひとまずやってみたことといえば、最初に剥き出しの感情を「ノート」という鍋に殴り書きにしてみる。 それを「激情」という火にかけてみる。 それを読みやすいように、なおかつインパクトを残しながら「アク抜き」をして。 できたスープに絡みあう「主人公」という麺を打つ。 最近の創作はもうそんなイメージである。 気分はラーメン屋さんだ。 ステーキからラーメンになってしまったがとりあえず自分ができることはそんなところだった。 今まではパッと思いついた「アイディア」をシェイカーにかけて短編を作るような気持ちだった。 一つの作品で創作の心持ちは変わるものだと強く思う。 そんなことを創作の息抜きにエッセイを書いてみることにした。 ☆☆☆ 好きな作品(作家)紹介と進捗報告を同時に行ってみました。 これからもよろしくお願いいたします🙆‍♂️ ☆☆☆
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