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二度目の依頼も同じ人
男の性というのは、その遺伝子に組み込まれてしまっているのでどうしようもないところでもある。とにかく自分の遺伝子をできるだけバラまこうとする。だから浮気がなくならない。理性や法律があるからこそ平和は保たれているが、元来、男とはそういう生き物だ。
だが女にはそれが我慢ならない。自分のほうだけを向いてほしいのに、キョロキョロして、独占欲が満たされない。
だから探偵という職業が成り立つともいえるのだが、それはいいとして――。
「夫があまりにいい男すぎるので、悪い虫がついてしかたありませんわ」
ホホホ、と浮気する夫を少しも責めるでもなく、夫に近づく女に対してだけ悪意を持つ。それが外井千咲という女だった。三十代で、女ざかりといえるだろう。子供はなく、このまま熟女となっていきそうであった。
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