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探偵は、顧客の依頼に応えるため、細かな身辺調査を行う。それこそ違法ぎりぎりのことまでして。その過程でさまざまな人のプライバシーを入手するので、警察はそれを求めてやって来るのだ。本来なら興信所なんかに頼らず、警察が捜査すべきことかもしれないが、人手は限られているし、事件の時効が延びたことでいつまでも捜査をし続けなければならなかったりで、警察の負担は重くなる一方であった。興信所を頼るのも、そういうよんどころない事情があるのだった。
「こちらへどうぞ」
刑事の応対をしていたマネージャーは、そう言って事務所の奥の会議室へと案内する。短く切りそろえた髪を虹色に染め、アイシャドーとひげ剃り跡の濃い長身のマネージャーは腰をくねらせて歩き、そのあとを、柔道でもやって鍛えているのか体格のいい二人の刑事が続く。
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