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巣にいるなかで、なぜか働かないアリが20パーセントはいるというが、そのほうが突発的な事象に対処できるらしい。先野はもしかしたら、そんな20パーセントの存在なのかもしれないと、最近、マネージャーは思ったりしていた。
「いえ、お客さまですわ」
「客? 依頼人ではなく?」
「警察ですよ。背中の大きな刑事さんが二人も。いい男だわ……」
オネエ言葉のマネージャーの、憂いを含んだ吐息がもれる。
「刑事がおれに用があるって?」
先野は不審そうに眉をひそめる。
調査中に制服警官や刑事にしょっちゅう職務質問されている先野であった。他の探偵に聞いてもそこまで頻繁ではないようで、明らかに突出して多いのは、おそらくその怪しげな顔のせいではなかろうか、と本人も自覚していた。仮定の話だが、もしドラマに出演したなら悪役以外はさせてもらえないだろうと想像させる、わかりやすい顔だった。そのせいか、警察には多少苦手意識がある。
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