刑事と探偵

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「おれに、なんの用があるっていうんだ?」 「先野さんが以前、担当していた案件に関わることよ。ひと月ぐらい前の」 「おれが担当した案件?」 「そ。外井様の浮気調査で、調べていた相手が死んだって言うのよ。先野さんが担当だったでしょ?」 「あの調査か……」  先野はげんなりとした。憶えていた。あのときの依頼者はなかなかに強烈だった。 「会議室で待ってもらっているから、行って捜査に協力してあげてちょうだい。善良な小市民のひとりとして」 「わかった、しかたない」  先野は腰をあげる。会議室に向かうその足取りはやや重かった。  広い事務所の一画を、天井まで届くパーティションで区切って作られた十帖ぐらいの会議室に入ると、ワイシャツ姿の二人の男が出された麦茶に手もつけずに待っていた。ひとりはパンチパーマをあてた四角い顔の中年で、もうひとりはその後輩とおぼしきあごの細い青年であった。
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