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先野は愛想笑いを浮かべる。
「これは刑事さん、どうもご苦労さまです。このクソ暑いのに、大変ですなぁ……」
外は今日も猛暑日であった。昼間の最高気温は三十五度に達する。それ故、エアコンのきいた室内は天国のようだった。
会議テーブルのイスにかけていた二人は先野を認めると立ち上がり、警察手帳を提示して見せ、
「お忙しいところ、すみません。県警の錫川と申します」
顔だけでも犯人を威圧できそうな中年刑事が口を開くと、
「同じく、関浦です」
と、青年。
タイプは異なるが、どちらもマネージャーが好みそうないい男である。
「探偵の先野光介です」
名刺を差し出す。
「おや? どこかでお会いしましたかね?」
錫川が先野の顔を見る。仕事柄、人の顔には敏感だった。
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