3打目 「唇・ゴミ箱・がらんどう」

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3打目 「唇・ゴミ箱・がらんどう」

あの男は濡れた唇と大仰な溜息で、堕落した愛のない関係を都合良く終わらせようとしていた。快楽に罪を着せてまでも続けようとした癖に。 波が引いたら、終焉まであっという間だった。 モノというモノ全てが吐き出され、がらんどうになった嘗ての愛の巣に残るものは、今や、刹那の記憶だけだ。 瞼を閉じれば、それは鮮明に甦る。 愚痴にも似た、たわいもない会話。ちょっとした仕草と甘美な囁きに、憂いのある瞳。次第に涙が溢れ、もう止まりそうにない。 何もかもをゴミ箱に投げ捨てて、残ったものが愛だったなんて、なんて馬鹿げた話だろう。 END 自分勝手なダメ男との、センチメンタルな別れをイメージして書いてみました。失うことで見えてくるものってあるよね、というお話です。 つぶやき企画で発表しようと思ったらNGワードが入っていたようで、こちら(作品)として公開することにしました。
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