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5打目 「舞台・ベッド・家族」
新しい世界で生きてみる気はないか？と、直々にスカウトされてから、はや10ヵ月。日々の積み重ねの末、遂にきょう、この日がやってきた。
暗転した舞台裏で、僕はドキドキしながら出番を待つ。こんどの役は男の子。出だしから大きく力強く泣けなければ、すぐに降板だ。
緞帳の向こうにいる新しい家族は、舞台の幕が上がる瞬間を固唾を呑んで待っていた。ひっひっふう、と力強く呼吸する音が舞台に鳴り響く。
ベシクという名前のついた、小さな木のゆりかご。その上に置かれたふかふかのベッドに、小さないのちが、降り立つまで、あと少し。
END
ひとつのいのちがこの世界に降りるまでの物語を書いてみました。ベシクとはウズベク語で「ゆりかご」の意味です。
ウズベキスタンなど中央アジアでは、出産は一大イベント。赤ちゃんが産まれたら、それはそれは盛大に「ベシクトゥイ」というお祝いをするんだそうです^_^
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