ぎっしり詰まっているのは、クリームじゃない

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『まひろもシフト制なんだから、お盆関係なく、帰れる時でいいわよ』  昨晩、お母さんにLINEするとあっさり返ってきた。2人で暮らしてきた期間が長いせいか、娘の帰省を強制してこない。  現役看護師のお母さんは、多分、私より忙しい。 『入院患者さんにも、新年を厳かに迎えてもらいたいでしょ』  初日の出とともにお雑煮を食べて、病棟に出勤していた年末年始を思い出す。 『元旦にも電車やバスを使えるのは、運転手さんが働いているからよね。有難いわ』  誰かがお休みの時は、他の誰かが働いてくれている。 『職場を忘れて休むのも、休みのうちよ。強いては、仕事のうちよね』  自分はハードワーカーのくせに、お母さんはそう付け加えた。  休む時は職場を考えず、心置きなく休んでもらう。自分が休む時も、気遣わずに休むこと。  それが仕事だと言っていた。 (神谷さんにも、しっかり休んでほしいのに)  けれど、発表された夏の職員シフトは、案の定だった。
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