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(……憎め……憎め、憎め憎め憎め憎め憎め憎め憎め憎め憎め憎め憎め憎め憎め憎め憎め憎め憎め憎め憎め憎め憎め憎め憎め憎め憎め憎めっ‼ あの女を……全てを奪ったあの女を……憎めっ‼)
アリスフィリアの姿が揺らぎ、優しく微笑む聖女アリスの姿が浮かび上がった。
もう二度と会うことのできない、愛しい人の姿に、涙が滲み、口の中に広がる血の臭いが鼻を通り抜けていく。
アリスは、誰よりも平和を望んでいた。
その身を犠牲にしてまでも、人々に尽くした。
そんな彼女が魔王となって災厄をもたらしているなど、決して、決して許せなかった。
愛する人を安らかに眠らせたかった。
それがあの日、世界のためだと彼女の命を奪った自分に出来る、最大の贖罪。
(彼女を愛しているなら……憎め。彼女を憎み……)
――殺せ。
目の前の複製が、ゆっくりと目を開けた。
103番目の新たな勇者が誕生した瞬間だった。
*
魔王城の頂上。
闇に包まれる世界の中、アリスフィリアはいた。
屋根に腰を下ろし、ブラブラと両足を揺らしている。
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