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リルフィーネの味方
その後、きちんと状況確認する事が大切だからと、マリーナとミマリアとの3人で授業をサボり、この3日間の話をきちんと話すことにした。カフェテリアの個室を貸切、お茶とお菓子で茶会のようになっている事に戸惑いながら、務めてありのままを話すことにした。
婚約者に浮気されるし、挙句には振られるし、なのに婚約破棄も失敗して、もっと太い首輪で繋がれてしまったような身も蓋もない話だが、全てを話したのはそれでもリルフィーネの友人でいてくれるか確かめたかったからだ。
ミマリアは青くなったり、赤くなったりしながら何度も頷きながら聞き、マリーナは時折説明を求めながら聞いた。
「良かったぁ。よかったです。リルフィーネ様。」
全てを聴き終わった後、ミマリアが何度も呟く。リルフィーネは、少し落ち着くようにと新しいお茶を入れた。人が多い時は出来ないが、マリーナとミマリアなら、リルフィーネが本当は自らお茶を入れるのが好きなのも理解して、だまってお茶を受け取ってくれる。
「私は歯痒く思っておりました。リルフィーネ様の事を何も知らない者たちが、つまらないだの味気ないだのと言う度に。」
マリーナはスケジュール管理をする分、リルフィーネの事を他よりもよく理解していた。
「今度からは私達からもリルフィーネ様を隠さないでくださいね。」
真っ直ぐと見つめて、そんな事をいうマリーナをとても男前だと笑ってしまう。
「私も王妃教育を受講しましょうか?」
今後の話まですり合わせをしている時に、マリーナが申し出た。
「私は学園を卒業したあとは、リルフィーネ様に仕えたいと考えておりましたので、学んでいた方が良いですし、受講者がいれば申し込み易くなります。」
「でしたら。私も。実は私、王妃教育を辞めた内の1人なんです。あんなにキツくて、泣き出して辞めた王妃教育をリルフィーネ様がずっと学び続ける姿に惹かれていたのです。最後まで学ぶのは無理と分かっていても、途中までの人数合わせくらいには役に立てます!」
リルフィーネも、今まで以上に一緒にいられる事を喜んだ。
1時間だけサボった3人は、仲良く教師に謝罪をして、次の講義から出席する。
教室に戻ると、まだ少し様子を伺う空気は残っていたが、リルフィーネにはマリーナとミマリアの2人が傍におり、少し前の腫れ物に触れるような扱いよりはずっと楽に過ごせた。
「リルフィーネ。お昼にしよう?」
当たり前のようにやって来て、堂々とエスコートしようとするクライアスがやって来るまでは。
「クライアス殿下は少し外聞を省みた方がよろしいですよ?」
差し出された手を振り払うことが出来ないリルフィーネは、嫌味とため息を着くことで応戦する。今朝の事だというのに学園内はクライアスの心変わりの噂で持ち切りだ。
「私だって節操がないとは思うが、そうは言ってられないからね。」
この言葉には、マリーナが食いついた。
「どういうことでしょうか?」
殿下は少し声を潜めて、私たちだけに聞こえる声で話す。
「今週末、王宮で夜会が開かれることになった。」
「まぁ、急ですね。」
「表向きは、叔父上の帰国を祝うものだが、実際はリルフィーネに男性を紹介するためだろう。」
マリーナがなるほどと相槌を打つ。リルフィーネも顔には出さないものの、驚いていた。
(流石、皇后陛下。お仕事がかなり早いです。)
そして、クライアスも黙ってはいられないだろう。この男は皇帝になるために、100年の恋と噂されていた物を簡単に手放したのだから。
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