ある委員会の判断

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「例の検査結果はどう? 」  彼女は眉間に皺を寄せながら尋ねた。 「うーむ……」  博士は言葉を詰まらせる。 「……悪いのね」  彼女は目を伏せると、手元の検査結果の用紙にもう一度目を通した。博士は口を小さく開いた。 「非常に残念ながら、手遅れの可能性さえある。傷もひどく炎症を起こしているし、あちらこちらが目も当てられない状態だ」 「そんな……」 「助ける方法としては、一度仮死状態にするしかない」  彼女は息を呑んだ。 「以前にも何度か仮死に近い状態を体験しているのよ。無酸素を体験したり、とんでもない熱や冷えを体験したり……。また繰り返しそんな目に合わせるなんて……」  彼女の目が潤んだ。 「しかたないのだ。我々はどうしても助けなければならない。一度仮死状態にして、対策を練る。それに仮死の間に傷や炎症の原因は滅されるはずだ」  彼女はぐっと口を結んだ。強い目つきが何かを決意したことを表していた。 「……わかったわ。仮死スイッチは私に押させて」 「うむ、いいだろう。この赤いボタンじゃ。約1秒で全体をマイナス100度で覆い、そのまましばらく保つ。冷凍保存だ」  彼女は博士の目をしっかり見返すと、ゆっくり深く頷いた。彼女は首を360度回して丸窓からそれを見た。それはとても美しい青さだった。 「前回の冷凍保存のときは、もっと温度が高かったかしらね——その代わり荒療治だったわよね、6600万年前くらいだったかしら——。何度も本当にごめんなさい……」  彼女は一筋の涙を流しながら、5番目の手を赤いボタンに這わせた。平たくぬめった皮膚からゆっくりとボタンのサイズに合わせて突起が作られる。その背中を博士は見守る。彼の胸のバッヂには「宇宙惑星保護委員会会長」の文字が刻まれていた。博士は緑色の手で持っていたノートに何かを記録した。記録した表の横には「地球」と書かれていた。  彼女は目を閉じ大きく深呼吸をすると、ボタンに乗せた突起に力を入れた。 「おやすみ」
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