理想の自分

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目が覚めると、そこは自分の部屋でも、教室の中でもなかった。 薄暗い倉庫のような場所で、手足の自由が利かない。声が出せない。柱か何かに縛り付けられているようで、口にはガムテープが貼られていた。 目が慣れてくると、向かいの窓にうっすらと映った自分が見えた。 え?うそ?何で? そこに映っていたのは、美人で非の打ち所のない理想の自分。 「目が覚めたかい?」 その声を聞いて、初めて倉庫内に自分以外の人物が居ることに気付く。そして、その人物は、ゆっくりと私の視界に入ってきた。 次の瞬間、私は声にならない悲鳴を上げていた。 その時、私は何もかも思い出したのだ。
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