430人が本棚に入れています
本棚に追加
穏やかに談笑するカメラマンの目は、温かく愛しそうに結亜さんを見つめているように思えた。
「——ねぇ、美羽聞いてる?」
友人に肩を叩かれるまで、彼に見入ってしまっていたようだ。横を見れば怪訝そうに私を見ている友人と目が合い、「何か言った?」と慌てて聞き返す。
「あのカメラマン、本城結亜の彼氏じゃない?」
「彼氏?」
「ほら、少し前に本城結亜熱愛発覚って週刊誌に載ったじゃん。その写真の人とそっくり」
ゴシップはご馳走と語る友人が言うなら、間違いないだろう。あの目は恋人を見る目だったのかと、ひとり納得する。
側から見れば、かなりの至近距離で会話にいそしむふたりは恋人以外考えられない。
お似合いだ、素直にそう思った。
結亜さんも身長が高い方だが、カメラマンはそれよりも高い位置に顔がある。
美男美女が公然でいちゃついていても鼻につかないのは、まるで今見ている光景がドラマのように映っているからだろう。
恋をすると、人ってあんなにきらきらと眩しく見えるものなのか。理想的な恋人達だ。
「お似合いだね」
数秒前に思っていたことを友人がもらし、すぐに同意する。撮影も終わりに近づいている様子だったので、私たちはその場をあとにすることにした。
最初のコメントを投稿しよう!