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凛とした直線的な眉に涼やかな目元は、見つめられれば一瞬でひきこまれてしまうほどの美しさがある。
鼻筋が通り整った顔立ちは、実年齢の三十よりも若く見せている。二十四になる私よりも二、三歳上だと言われても疑う余地もない。整髪料で整えられた黒髪は、清潔さを感じさせた。
見上げるべきではなかった。
妖しげな光を灯す瞳にとらえられた私は、目をそらすことができずに体が硬直する。
メドゥーサと目があって石になった人のようだ。もしくは、蛇に睨まれた蛙とでもいうべきか。飛鳥さんと目が合えば、確実に射止められてしまう。
それにしても綺麗な瞳だ。黒曜石を思わせる目に、吸い込まれていく。この人の眼差しの力強さの正体を目の当たりにした気がする。
美しさにぼうっとうつつを抜かしていると、やや当惑気味に片眉をつり上げた。
「あのさ」
「は、はいっ、何でしょうか」
「そんな目で男を見たらだめだろ」
「目?」
「誘惑するような目」
「そんな目してませんっ」
「他の奴なら襲われてるぞ」
「……ぅ」
「俺以外に見せんなよ」
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