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聖地ベルリルフ島を出て、ラピア王国首都ベールクオンに着いたのは昼をだいぶ過ぎた頃だった。
到着した港は国内有数の観光地で、ここでしか味わえない美味しいものが沢山ある。
元々の予定ではすぐに宿にチェックインして荷物を預けた後、夕飯までのんびりと観光する予定であったが、ここでも騎士団が邪魔をした。
騎士団は警護だと言ってサハナ達に張り付き、仰々しい一行に街の人々は何事かと騒然。
当然ながら騒ぎを聞き付けた報道陣の標的にされた。
道すがら見つけたベーカリーで軽食を取ろうという話にもなったが、安全性が確保出来ないとか騎士隊長に御託を並べられ、結局諦めざるを得なかった。
「どういうことですかっ⁉」
ミヤコの怒号が飛んだのは、やっとのことで迎えたチェックインの時刻だった。
対応に当たった宿のオーナーは困惑を隠せずにいた。
「恐れながら、ミヤコ・リースマン様御一行様のご予約はキャンセルされております」
「そんな!昨日はまだ空きがあると…!」
「延長のご連絡を頂きました後、聖地の方からキャンセルの連絡がありまして…。お電話された方によれば安全上の理由で当館はご利用頂けないとのお話だったのですが…」
宿のオーナーも困り果てていた。
話を聞けば、何者かが聖地の関係者を装い、宿に対して予約キャンセルの連絡を入れていたらしい。
宿側としては昨日のニュースを聞いていた為、その連絡を信じ込み、致し方無いと手続きを踏んでしまったそうだ。
既にサハナ達が泊まる筈だった部屋には、他の予約客が入っているらしく空いている部屋も残っていなかった。
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