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第一話 メルシュリーヴァ魔術学校にて(1)
遠くから誰かに呼ばれたような気がした。
静かに瞼を開くと、満天の星空とそれを鏡のように映した漆黒の水面の狭間で寝転がっている自分がいた。
ここは何処だろうと体を起こし、周囲を見回す。
寒くも無ければ、暑くも無い。
とても心地の良いような、けれど何処か寂しいような。
雄大で、底知れず恐ろしいような―――……。
そんな場所を呆然と眺めつつ、ふと視界の中で、ポツリと白い影を見つけた。
立ち上がり、足元に波紋を広げながらテクテクと歩み寄る。
とても柔らかで温かさのある真白い長髪の乙女が、両手で顔を覆って座り込んでいた。
乙女は真珠色のドレスを涙で濡らし、その涙はドレスを伝って、足元の水面に静かに流れ込んでいた。
この水面は乙女の涙で出来ているのだろうかと思うほど、涙は止め処なく流れ続けていた。
―どうしたの?どこか苦しいの?
おずおずと、声を掛けてみる。
乙女はハッとしたように顔を上げて、宝石のような瞳でこちらを見据えた。
―大切な人が、闇の中に閉じ込められてしまったの
―どうして、閉じ込められてしまったの?
―悪いことをしてしまったの
―悪い事?
そう尋ねた途端、水面が激しく波打った。
―お願い、貴女しかいないの…
悲痛な言葉に首を傾げた瞬間、轟音と共に上空が眩く光を放った。
漆黒の空を見上げれば無数の流星が怒り狂ったように燃え上がりながら、こちらへと近付いて来る。
―助けてあげて…
怒れる流星が煌々と放つ強過ぎる光に呑まれ、声が、視界が霞んでいく。
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