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「玲ー!また明日ねー!」
「うん!またねー!!」
友達に手を振ってアパートまでの道を歩く。
歩きなれた道はいつもと変わらず人が少ない。
「あ、にゃん太郎!」
いつも帰り道にいる三毛猫のにゃん太郎。
野良猫だろうけど、不思議と私に懐いている。
「ウチのアパートがペット飼ってもいいなら、お前を迎え入れるのにな」
可愛く鳴いて擦り寄るにゃん太郎。
本当に癒しだよー……。
「お前を飼える世界に行けたらいいのに」
そう呟いた時だった。
私の足元に突然凄い光が発生した。
なにこれ!?
「にゃ、にゃん太郎!!」
なんとかにゃん太郎だけでも守らないと!!
腕の中のぬくもり。
それを逃がさないようにギュッと抱きしめて目をつむる。
周りに光がなくなった感覚がして目を開ける。
腕の中にいるにゃん太郎を確認してホッとした。
「よかったー!!にゃん太郎、無事だね!!」
にゃん太郎を両手で抱き上げて笑顔を向ける。
にゃん太郎も私に「にゃあ」と鳴いた。
そしてハッとした。
ゲームの世界でしか見た事のない空間。
最近やったスマホゲームでも見たぞ。
『謁見の間』、とかいう場所。
って、え?
なんか、全員日本人とは違う顔立ち。
そして見た事ない服装。
何……ここ……。
「おい、女神様はさっき召喚されたはずだろ?」
女神様?
「なんでまた光って……。しかも女の子が召喚された?」
召喚?
「二人女神様がいるってことか?でもそんな事あるわけが……」
ざわつく周り。
一体どういうこと?
ここはどこ?
私、いつものように帰り道歩いてて、にゃん太郎を可愛がって。
そしたら光が私の周りに……。
こんな事、あるわけないって分かってる。
でも、この状況をどう説明しようか。
これはすなわち……。
「異世界転生というやつでは……」
自分で言っていてものすごく滑稽だ。
でも絶対そうだろう。
にゃん太郎を抱き締めながら周りを見ていると、一人の美形男子が私の前に立った。
「君は、どうやってここに?」
赤い髪をなびかせて、耳にキラキラした宝石のピアスをしたイケメン。
どうやってって……。
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