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「着きました。本日より、こちらのお部屋をお使いください」
案内された部屋を見て呆然とする。
とんでもない広さ。
ここをにゃん太郎と一緒に使ってもいいの?
ホテルのスイートルームか何か?
「こ、ここ……本当に私が使っても……?」
「はい。お気に召しませんでしたか?」
「とんでもない!!むしろいいんですか!?間違いでやって来てしまった異世界人をこんないい部屋に案内してしまって!!チェイスさん怒られません!?」
私がそう言うとチェイスさんが笑った。
「怒られませんよ。貴女を元の世界へ戻して差し上げる事が出来ないのです。むしろ、このような部屋を案内するしかなく申し訳ないくらいです」
元の世界へ戻れない。
それは確かに悲しいけど、でもそのおかげでこんないい部屋でこれから過ごせるなんて棚からぼたもちというものだろうか。
「レイ様」
「はい?」
「あとでこちらに生活用品一式をお持ちいたします。その前に国王陛下と王妃様、ジャック王子にご挨拶へ伺いましょうか」
そうか、ここはお城なんだから国王陛下とかいうのがいてもおかしくないのか。
……本当にここって異世界なんだな。
物語の中に自分が入り込んだみたい。
チェイスさんに続いて部屋をあとにした私は、とても広い部屋に案内された。
ゲームや漫画で見たような椅子に腰掛けている男の人と女の人。
その近くに立っている金髪の美形男子。
その美形男子の隣に立っている女の子は私と同じような格好をしていて、そしてビクビクしていた。
にゃん太郎を見てみると、にゃん太郎は疲れたのか私の腕の中で寝ていた。
「お待たせいたしました。こちら、女神召喚の儀式の不具合により異世界からお呼び出ししてしまいましたレイ様でございます。そして腕にいらっしゃいますのはレイ様の猫であるにゃん太郎様でございます」
チェイスさんが頭をさげる。
私もぺこりと頭を下げた。
「レイさん、大変申し訳ない事をした。改めてお詫びしよう」
国王陛下が私に頭を下げる。
私は全力で首を振った。
「いいえ!!謝らないでください!!元の世界へ戻れないのは確かに寂しいし悲しいですけど、この世界にも興味はありますし。それに、私だけじゃなくてにゃん太郎も一緒にいていいって言ってくれて嬉しかったです。これからよろしくお願いします」
私は笑顔で皆を見た。
驚く四人。
女の子も私を見て目を見開いていた。
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