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「このように、レイ様はこちらの手違いであるにも関わらず私達を責めるような事はございません。王宮にて生活をしていただきますが、レイ様の生活の支援は私が努めさせていただきます」
「頼みましたよ、チェイス」
「承知致しました、王妃様」
チェイスさんが頭を下げる。
それから私を見た。
「レイ様。国王陛下と王妃様の近くに立たれているのがジャック王子と女神様であるミコト様でございます」
あの子が女神なのか。
私と同じくらいの年齢だろうか。
彼女はもう泣きそうな顔をしていた。
「よろしくね、レイさん」
絵に書いたような王子であるジャック様。
その微笑みにきっと多くの女性が魅了されるんだろう。
「よろしくお願いします、ジャック様」
私も笑いかける。
ジャック様は微笑みながら続けた。
「僕は女神であるミコトの支援をする事になっているんだ。ミコトと同じくらいの年齢のようだし、仲良くしてあげてほしい」
「もちろん!こっちに友達が居ないので是非友達になってもらいたいです!」
「レイさんは明るくてとても話しやすいいい人だね」
「ただ能天気なバカなんですよ」
「僕とも仲良くしてくれると嬉しいな」
「もちろんです!」
二人で笑っていると国王陛下が口を開いた。
「ところで、レイさんの魔法は一体何かな?」
魔法?
ファンタジーの世界でしか聞いた事のない言葉に首を傾げる。
すると代わりにチェイスさんが答えてくれた。
「申し訳ございません、国王陛下。レイ様はこちらの手違いでお呼び立てしてしまったお方様でございます。女神であるミコト様とは違い、魔法はお使いになれません」
「まさか……。彼女には魔力が全く無いと?」
「はい」
「チェイスが言うのであれば間違いないのだろうが……。しかし、魔力が無い状態ではこの世界で生きていくのは難しいのでは?」
「ご安心ください。私がレイ様に危害が及ぶ前に対処いたします。生活面においても不便が無いようにさせていただきます」
「それならばいいが……。くれぐれもレイさんに不便がないように、そして身の安全は何がなんでも守り抜け」
「承知しております」
魔法で成り立つ世界なんて、本当に別世界。
本当ならミコトちゃんみたいに怖がるのが普通なのかもしれない。
でも私はワクワクの方が強くて。
イケメンに守られるとか、めっちゃ幸せなんだけど。
とか呑気に考えていた。
広い部屋を出たあと、私とチェイスさんは私の部屋に戻った。
「俺も常にレイ様のお傍にいられるわけではございません。お守りとしてコチラを」
チェイスさんに手渡された綺麗な石。
「なんですか?これ」
「俺の魔力を込めた石です。レイ様の身の危険を感じ取るとこの石がレイ様を守ってくださいます。常に肌身離さず持ち歩いてください」
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