突然の異世界生活

7/14

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
(聖獣は絶対に俺達に姿を現わさない。魔力の強い者には聖獣がついているとは聞いていたけど、俺に聖獣がついていたって事か?だとしても、その聖獣がどうして俺に見える?しかも、魔力の無いレイ様にまで見えて、しかも触れるなんて……) 「おーい?チェイスさん?」 (彼女に魔力は全く感じない。ミコト様には微量ながら魔力を感じたから、ミコト様が女神様で間違いないだろう。それならばレイ様は魔力が無くて当然。それなのに、どうして見える上に触れる?おまけに、聖獣が懐いている?) 「どうしたんですか?突然固まって」 (今までの女神の記録にそんな事は一言も書いていなかった。女神であっても聖獣が姿を見せるわけがない。そして懐くなんて聞いたことない) 「勝手に触った事怒ってます?それはごめんなさい。私、動物大好きで。見つけるとつい触ってしまうんですよね」 (彼女は……一体何者だ……?) 「ごめんよ、御主人が怒ってるみたいだからお戻り」 私は固まったままのチェイスさんの肩にカメレオンを乗せた。 するとカメレオンが口から火を噴いた。 え? 「レイ様。この子はカメレオンではありませんよ」 「え?」 「サラマンダーと呼ばれる火の聖獣です。俺は火の魔法を得意としている魔導士なんです。この子は俺に力を与えてくれている子なのです。ただ、俺もこうして見るのは初めてで、聖獣は基本的に姿を見せないものなんですよ」 「そうなんですか!?」 「それなのにレイ様には見え、そしてレイ様が触れた事によって俺にも見えるようになった……。とても興味深い」 チェイスさんは少し考えると私を見た。 「レイ様は、間違いで召喚されたわけではないかもしれません」 「え?どういうことですか?」 何を言っているのか理解出来なくて固まる私。 チェイスさんはそんな私に微笑んだ。 「これからゆっくり考えましょう。とにかく、今はレイ様もお疲れだと思います。本日はゆっくりお休みください」 チェイスさんは頭を下げると部屋を出て行った。 にゃん太郎の隣に座って寝ているにゃん太郎を撫でる。 急にどっと疲れが出てきてベッドに横になる。 明日からこの世界での生活が始まるんだ。 ゲームのような世界。 突然始まった生活だけど、少しワクワクしていた。 「楽しく過ごせたらいいな」 そう言って私はそのまま眠りに落ちた。 ・
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加