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(聖獣は絶対に俺達に姿を現わさない。魔力の強い者には聖獣がついているとは聞いていたけど、俺に聖獣がついていたって事か?だとしても、その聖獣がどうして俺に見える?しかも、魔力の無いレイ様にまで見えて、しかも触れるなんて……)
「おーい?チェイスさん?」
(彼女に魔力は全く感じない。ミコト様には微量ながら魔力を感じたから、ミコト様が女神様で間違いないだろう。それならばレイ様は魔力が無くて当然。それなのに、どうして見える上に触れる?おまけに、聖獣が懐いている?)
「どうしたんですか?突然固まって」
(今までの女神の記録にそんな事は一言も書いていなかった。女神であっても聖獣が姿を見せるわけがない。そして懐くなんて聞いたことない)
「勝手に触った事怒ってます?それはごめんなさい。私、動物大好きで。見つけるとつい触ってしまうんですよね」
(彼女は……一体何者だ……?)
「ごめんよ、御主人が怒ってるみたいだからお戻り」
私は固まったままのチェイスさんの肩にカメレオンを乗せた。
するとカメレオンが口から火を噴いた。
え?
「レイ様。この子はカメレオンではありませんよ」
「え?」
「サラマンダーと呼ばれる火の聖獣です。俺は火の魔法を得意としている魔導士なんです。この子は俺に力を与えてくれている子なのです。ただ、俺もこうして見るのは初めてで、聖獣は基本的に姿を見せないものなんですよ」
「そうなんですか!?」
「それなのにレイ様には見え、そしてレイ様が触れた事によって俺にも見えるようになった……。とても興味深い」
チェイスさんは少し考えると私を見た。
「レイ様は、間違いで召喚されたわけではないかもしれません」
「え?どういうことですか?」
何を言っているのか理解出来なくて固まる私。
チェイスさんはそんな私に微笑んだ。
「これからゆっくり考えましょう。とにかく、今はレイ様もお疲れだと思います。本日はゆっくりお休みください」
チェイスさんは頭を下げると部屋を出て行った。
にゃん太郎の隣に座って寝ているにゃん太郎を撫でる。
急にどっと疲れが出てきてベッドに横になる。
明日からこの世界での生活が始まるんだ。
ゲームのような世界。
突然始まった生活だけど、少しワクワクしていた。
「楽しく過ごせたらいいな」
そう言って私はそのまま眠りに落ちた。
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