突然の異世界生活

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………。 うん、死ぬほど美味しくない。 見た目は美味しそうなバターロールなのに、味が全くないのはどうして? どうやったらこんな無味なパンが出来上がるの? それにこの紅茶……。 漢方か何かですか? 体にとても良い感じのする味がする。 にゃん太郎も食べれたものじゃないのか、口に入れては戻している。 そして私を見上げてきた。 ごめんよ、にゃん太郎。 私には何もないのだ。 私はにゃん太郎を抱っこして部屋を出た。 とりあえず厨房を探そう。 自分で作った方が確実に美味しい。 そりゃ私だって有名料理店のような味を再現できるような腕はないよ。 でも、あまりにもまずい。 だけど、どこに厨房があるのか全く分からない。 歩いても、歩いてもたどり着ける気配がない。 彷徨っているとお城の入り口にたどり着いてしまった。 こうなれば仕方ない。 街へ出て美味しいものを探そう。 周りを見渡しても誰もいない。 チェイスさんとの約束で誰かに外に行くことを伝えないといけないんだけど……。 「……すぐに戻れば、大丈夫かな?」 にゃん太郎は私を見上げて『にゃあ』と鳴いた。 外に出て広い庭園を抜けると、まるでヨーロッパを感じさせる道が広がっていた。 少し歩けば沢山の人で溢れている。 ゲーム上でしか見た事ないような恰好をしている人達。 私はキョロキョロしながら飲食店を探した。 市場のような場所には魚もお肉も野菜も果物も売られている。 でも、そのどれもが見た事がなかった。 魚って……あんなに虹色に輝いてたっけ……? 市場の中の建物に、カフェのような建物を見つけた。 中に入ると、ポニーテールの元気な女の子が笑顔で振り向いた。 「いらっしゃいませ。あれ?新顔さん?」 「あの……ここってペット同伴できますか?」 「猫ちゃん?もちろん!大歓迎だよ!」 女の子は私とにゃん太郎を案内してくれるとメニューを渡してくれた。 しかしながら全く読めない。 「……あの」 「どうかした?」 「このお店でおすすめの料理をお願いします」 そう言うと女の子はニコッと笑った。 「まかせて!」 元気にカウンターへ向かう女の子。 他の席の人達に沢山話しかけられてる。 看板娘ってやつかな。 可愛いし、話しやすいし。 「いい所でよかったね、にゃん太郎」 「にゃあ」 ・
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