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結局早退する予定の時間より三十分遅くなってしまい、通夜に間に合うかもわからないほどギリギリの時間で、会社を出て、着替えて、斎場まで駆けつける羽目になった。
あたふたしながら準備したのも、化粧直しも、追い出されてしまったから全部無駄になってしまったし、本当にもう、なんなんだろう。私の頑張りというか、時間がぜんぶ「世の中」っていうやつに、踏みつぶされている。
ほんの数十分前まで、私は少女の遺影を見ながら、弔問する列に並んでいた。ひそひそと囁く声を聴くまいと、言葉をかわす人たちとは視線を合わせまいと、うつむいたまま。
読経する僧侶の声は、妙に白々しくて棒読みだなとか、どこかほかのところへと、自分の意識を向けたりしながら。
私って、どうしていつもこうなんだろう。
周囲が勝手に作り出して、勝手に押し付けられたことによって起きた出来事が与える影響に流されて、間が悪いほうへたどりついてしまう。
逃げようと思えば逃げられるくせに、私には「できない、してはいけない」ような空気が始終つきまとって、煩わしい。
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