けしごむ

１

　朋子がしてきたことによって、弔問の列に並んだ私がどう思われているのかも。

「ああ嫌だ、いじめっ子ってどんな時代も変わらないのね。子供があんなだから、親御さんもやっぱり思った通りだわ！」
「い、いえ私は、母親じゃ……」
「下手な嘘つかないでちょうだい！」
　嘘じゃないんだけど、と言いたいところなのに、女性の気迫におされて次の言葉が出てこない。年が離れた姉妹だから、母子に見られたことは何度かあるけれども、そのたびに「違いますよ」と答えている状況は、何度か経験している。
　それ以前に、私の発言する権利はないとばかりに詰め寄る女性には、嘘でしかないようだった。
「藤河さんから、いいえ、藤河さんのご家族からも、受け取るものなんかありませんし、お断りしたいぐらいだわ！焼香もしないでください、早く出ていって！」
　女性の目が、ますます赤く充血している。いや、泣きそうなんだ。鼻もすすっているし、目じりが潤んでいるもの。
「あ、あの、あなたは？」